2019/01/15 01:07

””好きなもの”として挙げられることは恐らくないだろう生き物「ゴキブリ」。そんなゴキブリが主役の絵本を2冊紹介します。

それぞれ日本人の作者とイラン人の作者の絵本です。どんな国でもゴキブリは嫌われ者とはいえ身近な生き物ではあるようですね。


『ゴキブリちゃん』
一冊目は、日本人のアーティスト久里洋二による絵本『ゴキブリちゃん』です。

人間にも他の虫にも嫌われているゴキブリちゃん。汚いから嫌われるんだ、と思ってきれいに体を洗ってもだめ。諦めずにコオロギ先生の音楽教室に通って、美しい音が奏でられるように練習します…

1928年生まれの90歳で今なお現役で制作活動をしている久里洋二さんが、2004年に出版した絵本です。どちらかというとアニメーター、漫画家として知られていて、絵本作品はあまり多くありません。ゴキブリちゃんの絵も、アニメ風のはっきりとした線と色です。けなげにがんばるゴキブリちゃんの姿が生き生きと描かれています。






『ごきぶりねえさんどこいくの?』
二冊目はイラン人の作家モルテザー・ザーヘディによる絵本『ごきぶりねえさんどこいくの?』です。

お話の内容は、イランでよく知られている昔話です。お母さんの言葉に従って、たった1人の身内であるラメザーンおじさんの元へと向かいます。その道中「ごきぶりねえさんどこいくの?」とさまざまな虫や動物たちが声をかけてきますが…

作者のモルテザー・ザーヘディは、ボローニャ国際絵本原画展に5度入選している実力派。大胆な崩し方とダルトーンのおしゃれな色づかいが特徴的です。

こちらは珍しいイランの絵本で、ペルシャ語の翻訳家・愛甲恵子さんが手掛けている「詩の国イランの絵本」シリーズのひとつです。愛甲さんはイランやペルシャ語圏の文化を日本に積極的に紹介しています。

長年アーティストのYUMEさんと二人ユニットでイランのイラストレーター・絵本の紹介をしていて、ホームページにまとめられています。


好きなもの・かわいいものが描かれた絵本を読むのももちろん良いですが、嫌いなもの・あまり見たくないものが主役の絵本というのも趣が変わって楽しいもの。どんなものでも、絵本の主人公になると親しみが沸いてきます。